加工図面の描き方

見積や発注をするには加工図面が必要で相手に情報や意図が伝わればスケッチ図でも可能です。
加工図面は見るだけで情報のすべてが把握でき、誰が見てもまったく同じ理解ができることが最も重要です。
スケッチ図でもCADを使用した図でもタカチではすべての製品ごとのデータをご用意しています。
無償でダウンロードいただけますので、ぜひ設計や加工図面の作成等にお役立てください。

図の縮尺

尺度を意識し縮尺を決めて描くのであれば等倍(1:1)で描くのが設計者と加工者での認識違いが少ないです。
サイズによっては用紙に描ききれなくなるので1/2倍、1/5倍、1/10倍などの尺度で縮小して描きます。
逆に製品寸法が小さい場合は、2倍、5倍、10倍などの尺度に拡大して描きます。
尺度を気にせずに描くと図面と完成イメージにズレ生じる場合がありますのでご注意ください。

面の配置

タカチでは部材やパーツ単体で加工を行いますので、各部材ごとの三角法で描くことを基本としています。
また、必ずしも6面図である必要はないですが、加工する面が多い場合は隣接する加工面との関係性を明確にし位置関係がわかるように最低限3面図で表してください。

▶︎ 三角法図説明

■右記のプラスチックケースを例にして、6面図・3面図を説明します。

三角法図説明

【6面図】

6面図

【3面図】

3面図

矢視の指示

スケッチ図で描く場合に多いのが矢視の不明確です。
加工面を外側から見ているのか内側から見ているのかは設計者にしかわかりません。
仕様の違いが生じる可能性があるため必ず明確にする必要があります。

【スケッチ図】

スケッチ図

テーパー(側面の傾斜)が付いている製品は投影図があるだけで矢視を判断できます。

テーパー

加工する製品が平板パネルの場合は表裏の形状が同じで投影図でも確認できないので直接指示する必要があります。

スケッチ図 - 平面パネル

加工穴の位置

タカチの機械加工は最大外形寸法の角や部材中心位置を原点としています。
加工をしたい中心位置と原点との寸法を出してください。
この際にボスや原点が取れない箇所からの寸法ですと( )で表す参考値となり、製品公差や加工公差によって若干のズレが生じますのでご注意ください。

【ボス位置からの寸法】

加工穴の位置 - ボス位置からの寸法

タカチの機械加工では部材ごとの加工になるのでケースを組んだ状態からの寸法や角度が付いている短手からの寸法も組立公差や加工公差によって若干のズレが生じますので、参考値となります。

【組んだ状態からの寸法】

加工穴の位置 - 組んだ状態からの寸法

寸法・加工種類

寸法はすべてミリ単位で表し、mmの記号は必要ありません。
文字が小さく読み取れなかったり、線と線が重なり見えづらくなり寸法相違の原因となります。
タカチでは穴径、穴数、穴種類によってお見積金額が異なりますので正確な情報を描いてください。

寸法・加工種類 - 寸法

【丸穴】

円の直径をΦ(ファイ)で表します。
同じ穴径が複数個あれば、「穴数-直径」という形でまとめて描いた方が図面がスッキリします。

加工種類 - 丸穴

【角穴】

縦と横の寸法を出して描きます。正方形で一辺の⾧さが10mmの場合、□10と省略することもあります。
樹脂製品・アルミ成形品の場合、タカチでは切削加工となりますので角部に標準でR1が付きます。

加工種類 - 角穴

【タップ】

タカチでは通常の丸穴と区別するために実線の二重円で描きます。内円は下穴径で描き、外円はねじの呼び径で描きます。サイズによってはピッチが複数対応できるものもあるので必ずご指示下さい。

加工種類 - タップ

【サラ】

タップ同様に実線の二重円で描きます。内円は下穴径で描き、外円はサラもみ外形で描きます。裏面からサラもみの場合は外形のみかくれ線(破線)にし 『 裏面よりサラもみ 』 とご指示ください。

加工種類 - サラ

【R(アール)】

怪我防止のため角部を丸めたり、見た目で付けたりと用途は色々あります。R(円の半径)で表し、記号の後ろに数値を描きます。切削加工では標準で角にR1が付きます。
タカチでは最小でR0.5まで加工可能ですがRが小さい加工コストが上がります。逆にプレス加工では標準が直角でRが付くとコストが上がります。

加工種類 - R(アール)

【C(シー)】

45°の面取りを示す記号でR同様怪我防止のため角部に付けたりします。切取る辺の寸法をCで表し、記号の後ろに数値を描きます。水平・垂直方向の削りが1mmのとき、C1と描きます。

加工種類 - C(シー)

【ザグリ】

段差を付けた加工です。板厚が厚く、コネクターが取付けられない場合や表面を剥離したい場合などに利用します。
また、穴を貫通させない加工はポケット加工とも呼ばれます。
ハッチングで削る範囲を表し深さを指示してください。
加工する製品自体の寸法誤差により深さの精度には多少のバラつきが生じます。

加工種類 - ザグリ

加工承認図の作成について

タカチではお見積時にタカチで作成した加工承認図を提出するサービスを行っています
寸法抜けや不明点が全て明確にならないと作図が出来ないためお見積り回答までに時間がかかります。
ご依頼の際は不備がないようご注意下さい。
また、加工承認図は全て2D図面で提出をしております。3Dデータでご依頼の場合も2Dに変換し入寸作業をしているので同様に時間がかかります。
お急ぎの場合は寸法が入った2Dデータ、PDFでの入稿を推奨いたします。

文字入れの描き方

文字入れにはインクジェット印刷、シルク印刷、文字彫刻などがあります。
基本はIllustrator(イラストレーター)でのデータ入稿が推奨ですが、タカチではスケッチ図でもご対応しています。
文字入れの指示は下記を参照にしてご依頼ください。

【文字入れ指示図例】

文字入れ指示図例
文字色:
書体: 丸ゴシック
文字高さ: 1~5 2mm
CH1~5 3mm

・必要な情報は色の指定、書体、文字高さ、位置です。
・また穴加工の図面に印刷の文字や位置寸法を入れると見えづらくなります。仕様の違いが生じる可能性があるため、ご入稿の際は必ず『加工図』 と 『印刷図』 別々のご送付をお願いいたします。
・企業ロゴや複雑な印刷はデータでのご入稿が必須になるのでご注意ください。

▶︎ 印刷データ入稿時の注意